研究プロジェクト

歴史学系プロジェクト

欧州和解―対立から協調へ

現在、欧州統合はドイツが重要な核となって進んでいるが、ドイツの近隣諸国はほとんど全てがかつてナチ・ドイツに侵略、 併合された国々である。これらの国々がドイツとともに新しい共同体を作り出そうとする欧州統合の過程において、 ドイツはかつての戦争とナチの暴力支配に由来する問題を克服し、安定した相互信頼関係を築くためのイニシアティヴを発揮することを求められてきた。 「欧州和解―対立から協調へ」では、ヨーロッパにおける和解とドイツの信頼回復を促した要因ならびにその進展のプロセスに歴史学的にアプローチする。 欧州和解の歴史的検証を通じて、東アジアの持続的な緊張関係を考える上でも新たな視座を獲得したい。

シンポジウム
ワークショップ
若手研究フォーラム
セミナー

関連プロジェクト

「第二次世界大戦後のヨーロッパにおける崩壊社会の再建と地域和解」 (科学研究費補助金(2007年度採択、研究課題番号19320115)

第二次世界大戦期に大規模なジェノサイドや強制移住を経験したヨーロッパについて、 大戦終結後の秩序再編の二重性(国内の社会再建と地域的な秩序再編の同時進行)、秩序再編の段階性・長期性(冷戦下での地域秩序の再編と冷戦終結後の地域秩序の再再編)、秩序再編のための取組みの包括性という三点の特徴に着目しながら、国内的・地域的な秩序再編の様相を分析する。 具体的には、(a)社会崩壊と秩序変動、(b)被害者支援・加害者の統合、(c)被害者の メンタルケア、 (d)歴史的記憶の継承、(e)再発防止のための教育実践の5つの観点から分析を行なう。 これらの分析を通じて地域和解・反ジェノサイド社会の構築のための方策を追究し、ジェノサイド後の社会復興を急務とする地域の復興・再建に応用してゆくための指針を提供する。

関連出版物
図説 ドイツの歴史 シリーズ・ドイツ現代史

Ⅰ 石田勇治『20世紀ドイツ史』(白水社2005)  
Ⅱ 井関正久『ドイツを変えた68年運動』(白水社2005)  
Ⅲ 武井彩佳『戦後ドイツのユダヤ人』(白水社2005)  
Ⅳ 川喜田敦子『ドイツの歴史教育』(白水社2005)