シンポジウム・研究会等の記録

特別展
越境するヒロシマ—ロベルト・ユンクと原爆の記憶

Image

ロベルト・ユンクを知っていますか。

日本に縁の深い人物ですが、あまり知られていないかも知れません。
このドイツ生まれのユダヤ人ジャーナリストは、ヒロシマを世界に伝えることに半生を捧げました。

若い頃、反ナチ抵抗運動に身を投じたユンクは、第二次世界大戦が終わると米国に渡り、そこで行われていた核実験の問題に向き合います。
そしてヨーロッパに戻り、人間の未来を脅かす技術開発への盲信に警鐘を鳴らしながら、多くの市民とともに反核・平和運動を進めていきました。
ユンクはその間、広島を何度も訪れ、被爆者と語り合いました。
彼が著した「灰墟の光―甦るヒロシマ」は、原爆の悲惨さだけでなく、廃墟から立ち上がる人びとの姿を伝える迫真のルポとして評判をとり、世界十四か国語に翻訳されました。
そこに出てくる被爆した少女、佐々木禎子の折鶴の物語は、オーストリアの児童文学作家カール・ブルックナーの手で『サダコは生きたい』となって世界中に広まりました。

第二次世界大戦の終結からまもなく七〇周年を迎えようとしている今、ヒロシマ・ナガサキの遺産をいかに引き継ぎ、世界にどのように発信していくかという問いは、いまなお「核の時代」にある私たちが向き合うべき課題ではないでしょうか。

本展示では、ヒロシマから人類の未来への責任を問うたロベルト・ユンクの足跡を辿りながら、この問題を考えてみたいと思います。

関連企画(いずれも予約不要・入場無料です)

■高校生のための金曜特別講座

会場:東京大学駒場Iキャンパス18号館ホール
日時:2014年11月7日(金)17:30〜
講師:石田勇治(本学教授)
題名:アウシュヴィッツからヒロシマ・ナガサキへ 

講義概要:第二次世界大戦中に起きた数多くの凄惨な出来事のなかで、アウシュヴィッツとヒロシマ・ナガサキは特別な位置を占めています。一方はユダヤ人を中心とする特定集団に対する未曾有のジェノサイド(集団殺害)を、他方は都市と住民に対する原子爆弾による徹底した破壊を意味します。史上初の核兵器の使用と「死の工場」の出現―20世紀人類史を特徴づけるこれらの事象の背景にはどのようなことがあったのでしょうか。アウシュヴィッツとヒロシマ・ナガサキをあえてひとつの視野において捉えることから何が見えてくるでしょうか。

本講義は、駒場博物館で開催中の展示「越境するヒロシマ―ロベルト・ユンクと原爆の記憶―」に関連して行われ、講義後は、展示会場でギャラリートークが開催されました。

※詳細は高校生のための金曜特別講座ホームページ にてご確認ください。


■駒場祭連携企画:シンポジウム「越境するヒロシマ-ロベルト・ユンクと原爆の記憶」

会場:東京大学駒場IキャンパスKOMCEEレクチャーホール
日時:2014年11月23日(日)13:00〜16:30
パネリスト:石田勇治(本学教授)、若尾祐司(名古屋大学名誉教授)、川口悠子(法政大学講師)、竹本真希子(広島市立大学講師)、マイク・ヘンドリク・シュプロッテ(ハレ大学・ドイツ)
言語:日本語

※詳細についてはこちらをご覧ください。


■トークセッション「僕らがみつめる戦争の記憶」

ゲスト:岡村幸宣(原爆の図丸木美術館学芸員)
会場:東京大学駒博物館
日時:2014年11月29日(土)13:00〜
入場無料
※どなたでもご参加いただけます。お気軽にお越しください。

主催:東京大学教養学部前期課程 全学自由研究ゼミナール「平和のために東大生ができること」
東京大学教養学部附属 教養教育高度化機構体験型リーダー養成部門


■ギャラリートーク

会場:東京大学駒場Iキャンパス駒場博物館1F展示室

10月25日(土)14時~
講師:川口悠子 法政大学理工学部専任講師 
テーマ:「ヒロシマ」を個人史から読み解く:米国留学が可能にした被爆者救援」


内容:「暗記ばかりで退屈」などと言われてしまうこともある歴史学ですが、ほかの学問分野と同様、もっとも大切なことは「なぜ?」 と問うことです。このギャラリー・トークでは、展示の中から、戦後初期に米国の民間人の手でおこなわれた被爆者救援運動を取り 上げて、それがなぜ、どのようにして起きたのかを考えます。その際、運動の中心となった、ある日本人牧師の個人史に焦点をあてます。谷本清牧師というこの人物は日本ではあまり知られていませんが、彼の経歴と活動は被爆者救援運動の背景について、当 時の広島の社会状況について、そして「ヒロシマ」と「平和」の結びつきについて、やや意外な一面を映し出してくれるでしょう。

11月1日(土)14時~
講師:柳原伸洋 東海大学文学部専任講師 
テーマ:〈未来〉はまだ終わっていない――原爆と空爆をつなぐ想像と思考の実験


内容:近代科学技術は、戦争を急速に「脱人間化」したと言われます。ロベルト・ユンクは、未来に対する想像力・思考力によって、技術を操作可能なものとして人の手にとり戻し、戦争を抑止しようと提唱した人物です。本展示には、『はだしのゲン』の世界的拡がり、ドイツの空襲被災都市ドレスデン、そしてドイツにおける広島・長崎原爆慰霊のパネルがあります。本ギャラリー・トークでは、これらの事例を時代と地域を超えた戦争への想像力として捉えなおして解説を加え、空襲に関する現代日本のコンテンツ(マンガ、アニメ、アイドル)についても触れてみたいと思います。その後、空襲と原爆に関する想像と思考の可能性(あるいは不可能性)について、みなさんと意見交換をしたいと思います。

11月8日(土)14時~
講師:猪狩弘美 東京大学大学院総合文化研究科特任研究員
テーマ:惨禍の体験とその後の苦難――ホロコースト生存者たちのたどった運命


内容:ユダヤ系一家に生まれたロベルト・ユンクは、ナチ時代には亡命生活を余儀なくされ、家族や親戚の多くをホロコーストで失いました。ユンクの活動の根幹には、ナチに反対するジャーナリストとしての報告がありました。本ギャラリー・トークでは、ナチによるホロコースト、とりわけ強制収容所を生き延びた人々が解放後に抱えた困難を取り上げます。そして、ホロコーストの生存者と被爆者の置かれた状況の共通点や相違点を見ることによって、筆舌に尽くしがたい破壊的行為の後のさまざまな可能性について、理解を深めることを目指したいと思います。



11月15日(土)14時~
講師:竹本真希子 広島市立大学広島平和研究所講師
テーマ:「ロベルト・ユンクが日本で見たもの」


ユンクは1957年の初来日以来、少なくとも5回日本を訪れています。その目的は原爆に関する調査、都市についてのシンポジウムでの講演、未来学会議への参加、原子力発電所の視察などさまざまで、ジャーナリストとしてのユンクの幅広い問題意識を示しています。本ギャラリー・トークでは、ロベルト・ユンクという人物に迫るために、これまでに判明したユンクの日本での足取りから、彼が日本で何を見て何について話したのか、日本そしてヒロシマをどう受け止めたのか、さらに日本の側でユンクをどのように受け止めたかについて取り上げます。そしてそこからユンクの問題提起の現在的な意味について考えていきます。


東京大学駒場博物館:会場
2014年10月18日(土)〜12月7日(日):会期
毎週火曜日:休館日
10:00〜18:00(入館は17:30まで):開館時間
入場無料

東京大学駒場博物館、東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究センター(DESK)、東京大学大学院総合文化研究科附属グローバル地域研究機構(IAGS)、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部:主催
広島市立大学広島平和研究所:共催
広島平和記念資料館、ロベルト・ユンク未来問題図書館:協力
在日オーストリア大使館、中国新聞社ヒロシマ平和メディアセンター:後援
駒場友の会協賛