シンポジウム・研究会等の記録
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Günter Gloser
ドイツ連邦共和国外務政務次官(欧州担当)講演会

2008.02.28 Th. 13:45~14:45:日時
東京大学駒場キャンパスⅠ 18号館4Fコラボレーションルーム1:会場
ドイツ・ヨーロッパ研究センター:主催
ドイツ語:使用言語
Günter Gloser(ドイツ連邦共和国外務政務次官(欧州担当))

2008年2月28日、ドイツのギュンター・グローザー外務次官(欧州担当)が駒場キャンパスを訪れた。グローザー次官は1950年生まれで、社会民主党(SPD)所属の連邦議会議員を1994年より務めている。その間、独マグレブ諸国友好議連議長やSPD欧州政策議員団のスポークスマンなどを歴任し、2005年より、欧州担当外務政務次官に就任し、同時に、エリゼ条約40周年を期に創設された独仏協力に関する担当官も務めている。

講演会は、まずグローザー次官より欧州政治の現状についての講演が行われた。そこで中心的な話題となったのは、欧州憲法条約の批准失敗という結果を受けて昨年新たに合意された改革条約についてである。当日はドイツ連邦議会においてその批准について審議が始まる直前の時期であったこともあり、その意義について熱弁をふるった。この改革条約はEUの行動能力・民主主義・透明性の向上に主眼が置かれ、立法過程において欧州議会や連邦議会の権限強化が図られ、また外交安全保障政策などで(当初の憲法条約に比べれば控えめながら)欧州レベルの担当者が明記されることになっている。この改革条約は昨年ドイツが議長国を務めていた間に合意にいたったものであるが、憲法条約のもっていた超国家的色彩を弱めることで、EUの権限強化に懸念を抱く国々の市民を安心させようとするものであった。憲法条約にはフランスとオランダが国民投票によって批准を拒否したために混乱へと陥ったが、今回の改革条約はアイルランド以外の加盟国では議会で批准手続きが行われることになっている。そのため、イギリスで一部のメディアが国民投票を求めたり、スロバキアのように政党対立のなかで他の国内問題と結びつけられたりすることによって審議が遅れるなどの不確定要素もあるが、批准プロセスは前回よりもスムーズに進むことが期待される。次官は来年の欧州議会選挙にはこの新しい条約体制のもとで実施されるように批准プロセスが進むことを望んでいた。

また次官は最新の事情ということで、コソボ問題など域外地域との関係についても言及した。EUは数日前に過去最大の欧州安保における最大のミッションを立ち上げ、コソボの独立を「法の支配ミッション」によって支えるという意思を示すものであった。コソボには1800名規模で司法、行政、警察関連スタッフが展開し、コソボの独立を支援する。また、新規加盟問題として、クロアチアを28番目の加盟国になる可能性が高いと述べる一方で、トルコとの加盟交渉の長期化について述べた。そして、最後に地中海地域を含んだ近隣諸国との関係安定化について触れ、講演は終えられた。

その後フロアより、コソボ独立、シェンゲン条約の拡大、地中海協力、ヨーロッパ・アイデンティティなど多様な質問が寄せられ、次官はそれぞれについて丁寧に対応した。惜しむらくは次官の日程上の制約のために必ずしも十分に議論をできなかった点である。次官からも、再来日の機会があればぜひ駒場を訪れ議論の続きをしたいという、次官の言葉を借りれば「政治家の軽々しい約束」をして頂いた。いつの日かその約束が叶うことを願っている。

(河村弘祐 DESK 特任助教)

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