シンポジウム・研究会等の記録
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セミナー
欧州連合の民主政

2008.02.08 Fr. 16:00~17:30:日時
東京大学駒場キャンパスⅠ 18号館1Fメディアラボ2:会場
ドイツ・ヨーロッパ研究センター:主催
英語:使用言語
事前申込み不要
Quagmire of Democracy? - Consociational and Majoritarian Elements in the EU
Prof. Roland Czada(Universitaet Osnabrueck
DESK
 

2008年2月8日、DESKはオスナブルック大学のローランド・チャダ教授を招いて、欧州連合における民主主義に関する講演会を開催しました。チャダ氏は討議に基づく民主主義(討議的民主主義)と投票に基づく民主主義(数的民主主義)と比較しながら、交換と妥協によって特徴付けられる交渉に基づく民主主義(交渉的民主主義)について解説し、また拒否権プレイヤーなどの比較政治学の分析枠組みを用いてEUの民主政を分析しました。

講演の主題は「民主主義の赤字」と呼ばれる問題に関するものでした。すなわち、民主主義に必要とされる政治参加がEUレベルでは不十分と考えられ、EUの市民に対するアカウンタビリティの不足が問題視されているということです。EUは立法権限をますます強めていることもあり、この問題はより重要になってきています。市民の声を直接欧州レベルに反映させるべき欧州議会は共同決定手続きの拡大により影響力は強めていますが、選挙が国ごとに行われるという制度的制約もあり、必ずしも欧州全体の利益を反映させるものではなく、理事会を構成する各国政府首脳も原則的に各国の議会および国民に対して説明責任をもっており、これも欧州全体の利益を反映する誘因が弱くなります。他方でEUには、コミトロジーを通した利益団体の影響力に特徴付けられるコーポラティズム的要素が観察されるとも指摘されました。

さらに、ドイツには他にも構造的問題が存在し、それは、ドイツの持つEU、連邦、州という多層的な統治システムのために、市民と政策決定者との間に距離が生じるということです。この構造的な問題のために、欧州レベルでの効率的な民主主義の機能がさらに困難になっていると指摘されました。

教授の講演のあと、フロアとの質疑応答も設けられました。この日は平日にもかかわらず、多くの研究者や大学院生が参加されたため質の高い議論が可能になりました。チャダ教授のように各国政治を対象として比較政治学で蓄積された概念をEU政治に適用して分析する研究が近年ますます盛んになってきていました。講演会はそのような研究業績に触れる貴重な機会となりました。

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