シンポジウム・研究会等の記録
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Barbara Ludwig
ザクセン州学術・芸術大臣講演会

2005.6.28:日時
東京大学・駒場キャンパスⅠ18号館ホール:会場
ドイツ・ヨーロッパ研究センター:主催
ドイツ統一を超えて生きる―旧東ドイツ・ザクセン州の過去と現在
Barbara Ludwig(ザクセン州学術・芸術大臣講演)
挨拶
山本泰 (東京大学大学院総合文化研究科副研究科長)
司会
石田勇治(ドイツ・ヨーロッパ研究センター執行委員長)

2005/2006年は「日本におけるドイツ」年であった。赤い円の上に橋をかけるように黒と黄色の二本の帯をわたした ドイツ年のロゴマークを、街中を歩いていて目にすることもあった。2005年4月以来、多くの文化的、学術的な催し が企画され、小さなものまで含めれば連日のようにどこかで何かのドイツ年行事が行なわれていたと言ってもよい。 ドイツ・ヨーロッパ研究センターでも、ドイツからの要人を迎える機会が例年よりも多かった。その一つがドイツ・ ザクセン州で高等教育、学術、芸術について担当されているバーバラ・ルートヴィヒ学術・芸術大臣の講演会である。

ザクセン州はドイツのなかでも独自の歴史と伝統を誇る地域である。ヨーロッパの歴史を紐解いてみれば、ザクセン は長期間にわたって独立した王国として国際関係の舞台に登場し、州内にはドレスデン、ライプツィヒ、ケムニッツ など、いずれも知られた大都市を抱える。ルートヴィヒ大臣は、「日本におけるドイツ」年の企画として国立西洋美 術館で開催された「ドレスデン国立美術館展-世界の鏡」展覧会のオープニングのために訪日された。その際、2005年 6月28日に東京大学駒場キャンパスを来訪され、竣工して間もない18号館ホールにて、Wendezeit - Leben in Sachsen zwischen 1970 und heute am Beispiel einer Biografie(ドイツ統一を超えて生きる ― 旧東ドイツ・ザクセン州の 過去と現在)と題して講演された。

歴史と文化の地であるザクセンは同時に、第二次世界大戦後には旧東ドイツに属し、1990年の東西ドイツ統一以降、 旧東ドイツ地域としての様々な問題と取り組みつづけている地域でもある。旧東ドイツ地域では、たとえば青少年の 極右化傾向の強まりや高い失業率が問題にされるようになって久しく、長年にわたる東西分断がもたらした問題は現在も まだ完全に解決されたわけではない。ルートヴィヒ大臣ご自身も、旧東ドイツ時代にはカール・マルクス・シュタット と呼ばれたヒェムニッツのご出身であり、分断から統一への急激な変動期にあって教員として新たな教育のあり方を 模索したところから政治の道を歩まれるようになった方である。講演では、分断から統一へと向かうドイツの歩みを 個人史と重ね合わせつつ、統一後15年をへた今日の視点から改めて振り返られた。政治家にありがちないわゆる型 どおりの講演ではなく、旧東ドイツ市民として歴史を動かす力の一端を担ったことに対する誇りさえも感じとれる ような話をうかがうことができ、学内外から集まった100名を超える聴衆にとって貴重な経験となった。

講演の後、木畑洋一総合文化研究科長、浅島誠前総合文化研究科長、山本泰総合文化研究科副研究科長、ゲアハルト・ ティーデマンドイツ大使館文化部長、アネ・ゲラートドイツ学術交流会(DAAD)東京事務所副所長らをまじえた懇談の 場が設けられた。連邦制をとるドイツでは文教分野での各州の独立性が強く、実質的な学術交流のためには州ごとに 実情を確認し、意見交換をすることが欠かせない。ドイツ・ヨーロッパ研究センターとしては、このようなかたちで、 現代ドイツについて日本の社会に広く紹介し、また日独間の学術・教育交流を促進する契機をつくることに貢献して いきたいと考えている。

川喜田敦子(ドイツ・ヨーロッパ研究センター 特任助教授)

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