シンポジウム・研究会等の記録
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シンポジウム
市民から視た拡大EU

2004.12.11:日時
東京大学駒場キャンパスⅠ 学際交流棟学際交流ホール:会場
ドイツ・ヨーロッパ研究センター:主催
趣旨説明
木畑洋一(DESK大学院修士課程社会科学教育プログラム運営委員長)
司会
森井裕一(東京大学)
EU拡大と欧州世論
廣田功(東京大学)
EU憲法条約は市民の声か?
中村民雄(東京大学)
EU拡大と西バルカン―セルビアの世論調査から
柴宜弘(東京大学)
ディスカッサント
小森田秋夫(東京大学)
上原良子(フェリス女学院大学、DESK客員助教授)

DESK修士課程プログラム(DIGESⅡ社会科学)では、2005年4月からはじまる「日本におけるドイツ2005/2006」年と「2005年日・EU交流年」に先駆けて、2004年12月11日(土)にシンポジウム「市民から視た拡大EU」を開催した。

2004年5月に中東欧への拡大をとげ25カ国となったEUは欧州憲法条約を採択し、再び制度改革を経験することになる。EUは国家に取って代わるものではないが、単なる政府間国際組織でもない。EU研究者は長い間、欧州議会の権限が弱いことを主に取り上げて「民主主義の赤字(democratic deficit)」問題として指摘してきた。しかし度重なる制度改革をへて欧州議会の権限は大きく拡大し、EUにおける最も標準的な立法手続きとなった共同決定手続きによって、多くの立法で閣僚理事会とほぼ対等の権限を獲得するにいたっている。

今回のシンポジウムはそれに対してやや異なる視点からEUの現在について考えた。EU条約(マーストリヒト条約)以後、補完性原則の導入により、EU、国家、地方自治体の間の権限関係が、市民生活の厚生をいかに身近で最も適切なレベルで改善するかについて規定されるようになった。EUオンブズマンはEU行政に対する個人からの苦情を処理している。しかし、現在の問題は、EUが実態として市民の声を反映するようなシステムとなっているかどうか、ということにある。「市民のヨーロッパ」はもう20年近くにわたってEUのキーワードであるが、現実に市民とEUの距離が小さくなっているという印象をもつ者は少ないと思われる。それはなぜなのか。今回のシンポジウムは、中東欧へ拡大したEUが市民の視点から見てどのような問題をかかえているかについて、EU法、経済史、地域研究などのさまざまなディシプリンの研究者がそれぞれの専門領域から議論しようとする試みであった。

廣田教授はEU拡大に対する旧加盟国、新加盟国、加盟候補国の世論について分析した。欧州憲法条約の邦訳者として知られる中村教授は民主主義原理の観点から見たときに、欧州憲法条約はどの点において進んでおり、どの点においてまだ改良の余地があるかについて報告した。柴教授は最近10年間のセルビアにおける世論の変化について論じた。当日は東京大学の内外から50名以上の方々が参加して活発な議論が繰り広げられ、参加者のあいだでもおおむね好評であった。

森井裕一 (DESK/国際政治学)

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