シンポジウム等の記録
日本におけるドイツ2005/2006年
日本におけるドイツ2005/2006年に寄せて
DESK(東京大学ドイツ・ヨーロッパ研究室)はドイツ学術交流会(DAAD)が援助するアジア初のドイツ・ヨーロッパ研究センターとして2000年に東京大学駒場キャンパスに設立されました。DAADが援助するドイツ・ヨーロッパセンターは世界各国に全部で16箇所あります。今年は新たに北京大学にドイツ・ヨーロッパセンターが誕生しました。各国のセンターはドイツとヨーロッパに関する情報センターとしての役割を果たしています。法学、社会科学、政治学、人文科学など様々な領域でドイツとヨーロッパに関心をもつ若手の研究者があらゆる分野の著名な研究者とともに教育・研究に携わり、ドイツとヨーロッパについて専門分野を超えて幅広い知識を得ることができるのです。DAADの援助する各国のセンター間では相互交流も盛んに行われており、複数のセンターによる共同のプロジェクトも進んでいます。とりわけ若手の研究者はこうした中で研鑽を積み、ひいては広報活動を行なったり重要な決定に携わったりすることになるのです。
ヨーロッパは興味深く重要な研究対象です。日本人は学際研究、比較研究を通じて固有の視点からヨーロッパについて分析しています。そしてその営みを学術的にともにすることはヨーロッパにとっても重要なことです。これまでに研究されてきたテーマは多岐にわたり、また高い重要性をもつものです。例えば、ヨーロッパ内部における移民の動きについて研究が行われました。法制度、社会文化、文化的アイデンティティが国ごとに大きく異なる中で、それでも共有されうるものがいかに育まれ、例えばEU憲法の中に反映されていくのか、グローバル化の動きの中で安全保障や環境の領域では国民国家的な利害関係がいかに意味を失いつつあるのかについても検討されています。
日本におけるドイツ年では、DESKは東京大学という枠を超えて重要な役割を果たすことになるでしょう。というのも、視線を外へ、日本からドイツへと向けていく上でDESKは非常に適した組織であるからです。そのDESKのニューズレターにドイツ年向けの特集が組まれるにあたり、挨拶の言葉を寄せられることを大変喜ばしく思います。日本での職務を終えられ、ボンの本部にお戻りになったリンス氏の後任として、私は今年の9月にDAAD東京事務所所長に着任いたしました。DAAD東京事務所で働けること、そしてなによりもDESKの皆さんと一緒に働けることを嬉しく思っております。ドイツ年の企画の成功と私たちの協力のさらなる発展を心より願っております。
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イレーネ・ヤンゼン
ドイツ学術交流会(DAAD)東京事務所所長
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