シンポジウム等の記録
Michael Rothドイツ連邦議会議員講演会
日時:2006.7.10
会場:東京大学・駒場キャンパス|18号館コラボレーションルーム4
主催:ドイツ・ヨーロッパ研究センター
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ヨーロッパ憲法条約の展望
Michael Roth(ドイツ連邦議会議員/社会民主党(SPD)所属/ヘッセン州選出)
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司会
森井裕一(ドイツ・ヨーロッパ研究センター執行委員)
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2006年7月10日、ドイツ連邦議会議員であるミヒャエル・ロート氏が駒場キャンパスを訪れ、DESK主催のもと、 「ヨーロッパ憲法条約の展望」と題した講演会が催された。ロート氏はヘッセン州選出の連邦議会議員であり、 政党としては社会民主党(SPD)に、また、議会活動としてはEU問題委員会に所属しているEU問題のエキスパートである。
ロート氏によれば、グローバル化が進展するなかで、各国の国民が不安に感じている雇用問題や移民問題に対して、 EUが十分に対処できていないために、昨年、仏と蘭で憲法条約の批准が拒否されるという状況にいたった。 講演では、今後の憲法条約展望について、これまでの議論で有力となっている4つのオプションが示された。 すなわち、1.憲法条約を先送りした現状維持、2.憲法条約の全面的再交渉、3.憲法条約の重要な部分 のみを分離して実施、4.憲法条約への社会的側面などを追加、である。その上で、それぞれのオプションを 検討すると、4番目のオプションのみが実現可能であると述べた。
ヨーロッパに平和と繁栄という歴史的業績をもたらした統合プロセスは、今日のグローバル化に関連した 問題を解決するために、さらに深化する必要がある。そして、今後は社会的側面の充実などにより、市民 一人一人の期待に応える形で統合が進展していくことが求められ、今回の憲法条約をめぐる危機はそのための よい機会になりうるとの見解を示した。
講演後、参加者の質問を受ける形で、統合における各国議会の役割、「民主主義の赤字」の原因、欧州 アイデンティティ、そして、米欧関係など広範なテーマについて活発な議論が展開された。
河村弘祐 (東京大学 ドイツ・ヨーロッパ研究センター 特任助手)