センター刊行物
書籍
現代ドイツへの視座―歴史学的アプローチ 2
ナチズム・ホロコーストと戦後ドイツ
石田勇治・川喜田敦子 編
勉誠出版(2020年)
ナチズムとホロコーストに関する実証研究は、ここ三十年で長足の進歩を遂げた。本巻では、その豊穣な成果を踏まえながら、ナチズムと両義的近代との関係、「民族共同体」の様態、レーベンスラウムや民族再生の含意、さらにポーランド、スイスの動きなど近年の歴史学が提示する最新の論点を取り上げる。そして戦後ドイツ、すなわちナチズム後のドイツが「負の過去」とどのように取り組んできたか、司法訴追、補償、想起の文化などに注目して多面的に検討する。
序 文 石田勇治・川喜田敦子
第1部 両義的近代へのアプローチ
第一章 教育刑と犯罪生物学―ヴァイマルからナチズムへ 佐藤公紀
第二章 ナチ強制収容所とドイツ社会 増田好純
第三章 戦間期ドイツにおける民間防空共同体―実践のフォルクスゲマインシャフト 柳原伸洋
第2部 第二次世界大戦とナチズム・ホロコースト
第四章 ある種の幻肢痛―戦間期のレーベンスラウム構想 ウルリケ・ユーライト(石田勇治・川喜田敦子訳)
第五章 入植と大量虐殺による「ドイツ民族」の創造―「東部総合計画」と学術的民族研究 パトリック・ヴァーグナー(川喜田敦子・石田勇治訳)
第六章 ポーランドとホロコースト―イェドヴァブネからの問いかけ 解良澄雄
第七章 スイスのホロコースト関与とその後―難民政策を中心に 穐山洋子
第3部 ナチズム後のドイツ
第八章 戦後ドイツ司法によるナチ犯罪追及―占領期から今日までの展開とその所産 福永美和子
第九章 フリッツ・バウアー―ナチの過去に挑んだ検事長の狙い 池辺範子
第十章 西ドイツの戦争賠償と「ナチ不法に対する補償」―ドイツ在外財産に着目して 川喜田敦子
第十一章 ナチズムの長い影―一九四五年以降のドイツにおける過去をめぐる政策と記憶の文化 ラインハルト・リュールップ(西山暁義訳)
第十二章 ナチ強制収容所体験と生存者たちのその後 猪狩弘美
第十三章 過去との断絶と連続―一九四五年以降のドイツと日本における過去との取り組み マンフレート・ヘットリング/ティノ・シェルツ(川喜田敦子訳)
第十四章 連邦大統領の演説と想起の文化 石田勇治