シンポジウム・研究会等の記録
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齋藤拓也(国際社会科学専攻 博士課程)
DAADセンター会議研究報告記(CIERA,Paris)

2008年7月2日から4日間、パリのドイツ研究学際センター(Centre interdisciplinaire d’études et de recherches sur l’Allemagne, 以下CIERAと省略)でDAADセンター会議(Internationale Doktorandenkonferenz)が開催された。これはDAADの支援を受けて活動する世界各地のドイツ・ヨーロッパ研究センターの教育プログラムに参加している博士課程在籍の学生のための国際会議で、今回が3度目の開催である。前回(ドイツ研究所Duisland Instituut Amsterdamにて開催)に引き続き、幅広く人文・社会科学の領域から博士課程の学生および研究者が参加した。

「規範と逸脱(Normen & Devianzen)」をテーマにした今年の会議では、各日次のようなパネルが設定され、研究者および17名の博士課程の大学院生が発表し、続いて司会者によるコメントと会場からの質疑応答がなされた。7月2日(水):パネル(1)「規範と政治」、3日(木):パネル(2)「境界侵犯:文学と芸術による規範の変化」、パネル(3)「性的役割の規範化/脱規範化」、4日(金):パネル(4)「日常における規範の構築と機能の仕方」、パネル(5)「規範と逸脱:トランスナショナルなパースペクティヴ」、5日(土):パネル(5)「知による規範化」。また大学院生の研究発表に先立って、招聘された次のような研究者による基調講演が各日の始めに行われた(講演のテーマは省略)―ウルリッヒ・ビーレフェルト教授(Prof. Dr. Ulrich Bielefeld, Hamburger Institut für Sozialforschung)、ミヒャエル・ヴェルナー教授(Prof. Dr. Michael Werner, CIERA)、トマス・リンデンベルガー教授(Prof. Dr. Thomas Lindenberger, Zentrum für Zeithistorische Forschung, Potsdam)、ライナー・マリア・キーゾウ博士(Dr. Rainer Maria Kiesow, Max-Planck-Institut für Europäische Rechtsgeschichte)。

私は2日(水)のパネル(1)「規範と政治」でイマヌエル・カントにおける共和主義の概念について報告し、カントの政治思想が現代の政治哲学にどのような影響を及ぼしうるのかという観点から議論に参加しようと試みた。今回の会議では他に思想史を専門とする報告者はいなかったが、コメンテーターおよび会場の参加者から有益なコメントや質問を受け、予想していた以上に活発な議論になったのは非常に嬉しいことだった。

今回の会議の使用言語はドイツ語のみであった。このことがどのような影響をもたらしたかは分からない(単純に比較はできないだろう)が、おそらく英語とドイツ語を使用言語とした前回のアムステルダムの会議に比べて参加者は少なかったと思われる。しかし、何らかのかたちでドイツ語を用いてドイツおよびヨーロッパに関する研究を進めている大学院生同士が意見を交換し、今後さらに持続、発展しうる関係を構築するための貴重な第一歩になったことは確かである。私にとってこの会議は、会場の内外にかかわらずドイツ語で研究やそれに限られない様々な事柄について話し合うことができる素晴らしい機会でもあった。

最後にこの場を借りてミヒャエル・ヴェルナー所長を始めとするCIERAのスタッフの方々、また会議に参加した司会者、コメンテーターの方々に感謝を申し上げたい。とりわけファルク・ブレットシュナイダー博士(Dr. Falk Bretschneider)には、この国際会議を通じて大変お世話になった。テーマ設定やプログラム作成に始まって、参加者との綿密な連絡、発表原稿の取り纏め、コメンテーターへの原稿送付、宿泊先の手配や当日の会議の運営に至るまで、ブレットシュナイダー氏の尽力があったからこそ、有意義な会議になったというのが参加者の間の一致した見解である。そして、若い研究者の自己研鑽および交流のためにこのような有意義な機会を提供してくださったDESKにも感謝を申し上げたい。

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